上の図は、一番上の折れ線がQQQ(NASDAQ100に連動する上場投信)、真ん中の緑の線がSPY(S&P500に連動する上場投信)、一番下のオレンジの折れ線はVT(全世界の投資可能な市場価格総額の90%以上をカバーする指数に連動している、いわゆる全世界株式インデックス上場投信)、それぞれ過去10年間の価格の推移を表すチャートです。
NASDAQ100が値上がりする時、全世界株式も値上がりし、NASDAQ100が値下がりする時、全世界株式も値下りします。こういう場合、互いに正の相関が強いと言います。
NASDAQ100に連動する上場投信の構成銘柄は、約100銘柄でほとんどアメリカの企業であるのに対し、全世界株式の構成銘柄は49か国、約2900銘柄です。
つまり、国籍がほぼ1つの約100銘柄の時価総額加重平均と、49か国2900銘柄の時価総額加重平均の値動きの相関が強いのです。
これは、どういうことか考察してみます。
NASDAQ100の全世界株式にしめる時価総額が高い
NASDAQ100は、アメリカの新興企業向け株式市場NASDAQに上場する企業の時価総額が高い100銘柄で構成される指標です。
この中には、iPhoneで有名なアップル、電気自動車のテスラ、通販サイトのアマゾン、Facebookのメタ・プラットフォームズなどの大企業が含まれています。NASDAQ100に含まれる構成銘柄は、どれも時価総額が大きいので、全世界株式の中に占める割合も無視できない比率になっている可能性があります。
間接的に分散投資
NASDAQ100は、ハイテク銘柄の構成比率が高くなっています。
NASDAQ100の約7割を占める情報技術やコミュニケーションサービスの顧客は、様々の業種の企業です。各業種の生産性を上げたり、マーケティングの成果を上げて収益を得ており、様々な業種の業績に依存しています。つまり、NASDAQ100に投資すれば、幅広い業種に間接的に投資することになります。また、一般のユーザーの給与が高くなれば、一般のユーザーからの売上も上がります。
NASDAQ100の顧客は、市場があるアメリカだけではなく、世界中の企業や個人です。NASDAQ100の構成銘柄は、世界中の将来有望な企業を買収したり、提携したり、投資します。また、テスラが以前ビットコインを買い込んだように、プロの目線で、その時々で将来性がある資産のポジションを多く取るなどの投資をしています(※)。
(※)
米電気自動車(EV)大手のテスラ(Tesla)が15億ドル(約1580億円)をビットコインに投資したことで、同暗号資産の価格は高騰し、日本円に換算すると1ビットコインは500万円を超えた(2021年2月9日)。
株式クラスに共通する事情がある
世界中の金融機関が量的緩和を行い、市場に金が余っているときは株が買われやすいですが、逆に引き締められると株が売られやすくなります。また、インフレを抑制するために、各国の中央銀行が国債の金利を上げると、株が売られ、債権が買われやすくなります。他にも、株の他の資産クラスが有望なら、株が売られて、他の資産クラス、例えば、などのコモディティが買われることになるでしょう。そして、株が売られる事情は、NASDAQ100構成銘柄でも、全世界の上場企業でも共通するでしょう。
ちなみに、最近、株価が下がっていますが、これは、株価が上がっていたので投資家が利確するタイミングを探っていたところ、世界的な物価高騰や、金利の引き上げをきっかけに、株のポジションを落として、債権などの資産へ移す傾向が強くなっているためと思われます。
以上、NASDAQ100が全世界株式と正の相関が強い理由につき、まとめると、
NASDAQ100の全世界株式にしめる時価総額が高く、
NASDAQ100に投資すると、世界中の国の景気に依存しつつ、世界中の企業や様々な資産に間接的に投資することになり、
また、株が売買される諸事情が共通しているため、
VTのように49か国2900銘柄への投資するETFと、強い正の相関をとるだと思われます。