ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)を調べてみました。
名前の通り、新興国の小型株を中心に投資するアクティブファンドです。
新NISAの成長投資枠で投資できます。
運用方針
主として、世界の金融商品取引所に上場されている新興国の小型株式に投資を行う。ビッグデータを活用した計量モデル運用に強みをもつアクサ・インベストメント・マネージャーズが実質的な運用を行う。
投資信託の運用方針には、いかにも儲かりそうなこと書いてあるものです。
比較チャート
・ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)
・eMAXIS Slim 先進国株式
・eMAXIS Slim 米国株式
・eMAXIS Slim 全世界株式
・eMAXIS Slim 新興国株式
を比較してみました。
折れ線がこんがらがって分かりにくいので、3つずつ見てみましょう。
リターンとシャープレシオ
新興国株式インデックスは、このところ値動きが大きい割にリターンが低く、
全世界株式の成分の一部ながら全世界株式のリターンの足をひっぱっているイメージで捉えられがちです。
全世界株式の中に新興国株式が含まれているので、新興国株式をポートフォリオから除くために米国株式や先進国株式に投資する方もいると思います。
一方、ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)は、比較チャートを見ても分かるように、安定してリターンがでており、また、上記5つの中で3年シャープレシオが一番高いです。
組入銘柄の国籍、上位銘柄、上位業種
名前の通り、小型株の割合が大きいです(時価総額30億米ドル未満の銘柄で73.6%)
投資先の会社の国や地域を見ると、インドと台湾が多いです。
新興国株式インデックスも、インドと台湾の割合が多いですが、ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)より一回り割合が高いです。
中国や、中国企業が進出しているケイマン諸島が少ない……ない?……のも特徴です。
新興国に分散投資することにより、通貨分散効果が期待できます。
↓↓ 参考までに、 eMAXIS Slim新興国株式の月次目論見書(2024年2月29日)
↓↓ ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)は、資本財の割合が多いです(2024年2月29日現在)。
↓↓ 上位10銘柄です(2024年2月29日現在)。
コスト
購入時手数料 購入時基準価格の税込3.3%以内(販売会社による)
ネットで、SBI証券、楽天証券から購入する場合、購入時手数料がかかりません。
運用管理費用(信託報酬額含む) 年1.892%
信託財産留保額 ありません。
解約手数料 ありません。
アクティブファンドなので、運用コストが高いです。
リスク
価格変動リスク(新興国株や小型株は特に株価の変動が高いと言われています)
流動性リスク(株の評価額通りに取引できないことで、損する可能性があります。新興国株や小型株は特に流動性リスクが高いと言われています)
信用リスク(投資先の会社が倒産するかもしれません。新興国株や小型株は特に注意が必要です)
為替リスク(各国通貨に対して円安になれば値上がりし、円高になれば値下がりします。新興国の通貨は特に変動が大きいと言われています。ここは、通貨分散効果とトレードオフです)
分配金
毎年に10月に決算があり、分配金を出すことがあります。
2023年は、分配金を吐き出さなかったようです。
分配金が出ない方が、余計な税金を払ったり、再投資する必要がなく、複利効果が高くなりますので、長期投資にも向いていそうです。
投資法
アクティブファンドなので、運用チームのスタッフが変わると成績が落ちる可能性がありますが、組織的な運用により投資成果に再現性があると仮定するなら、投資先の分散のために買うものありかと思います。
先進国に投資するインデックスと組み合わせて、独自の世界分散投資するのも面白いかもしれません。
個人的に注目している「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」や「インベスコ 米国株式ダイナミック・マルチファクター・ファンド<愛称:アメリカン・ダイナミック>」と「ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)」を組み合わせると、世界中の株式に投資しながら、オルカンより効率が良い投資ができるかもしれません。コア・サテライト投資のサテライト枠で、実験的にディフェンシブ運用するのはどうでしょう。
↓↓ 野村インデックスファンド・先進国ESG株式について書いた記事です。
maruinocorocoro.hatenablog.com
↓↓ インベスコ 米国株式ダイナミック・マルチファクター・ファンド<愛称:アメリカン・ダイナミック>について書いた記事です。
maruinocorocoro.hatenablog.com
ネックなのは、運用コストが年2%近くかかることです。
また、年2%近いコストをかけながら、新興国インデックスを凌駕するどころか、オルカンや先進国株式インデックスにそん色ないリターンとリスクだったのは、ここ最近、市場は過去最高値を更新しつづけ上値を狙っている時期なので、割高になった大型株を避けて小型株が物色されたおかげで、ビッグデータ新興国小型株ファンド(1年決算型)のリターンが高かったせいかもしれません。
世界的に景気減速期、景気後退期に入ると、インデックスにアンダーパフォームする可能性もあります。
設定日が、2019年の10月31日で、まもなくコロナが流行り始め、コロナショックでどんな値動きをしたか見られますが、景気減速期、景気後退期ではどんな値動きをするのか未知数なので、要注意ではあります。
ですが、面白そうな投信なので、「野村インデックスファンド・先進国ESG株式」や「インベスコ 米国株式ダイナミック・マルチファクター・ファンド<愛称:アメリカン・ダイナミック>」と絡めた投資の可能性を探りつつ、ときどき月次報告書やチャートを見てみようと思います。