まるいの日記

いろんなことを書くブログです

MENU

【給付付き税額控除】その凄さが伝わらない理由について考えてみた

 

給付付き税額控除のイメージ 出典:日経新聞 (外部サイト)https://www.nikkei.com/article/DGKDZO40152480U2A400C1EE2000/

給付付き税額控除のイメージ 出典:日経新聞 (外部サイト
https://www.nikkei.com/article/DGXDZO42484780S2A610C1EA2000/

 

埋もれた法案

上記2つの図は、

2012年(平成24年)4月4日の日経新聞の記事・

『(2)給付付き税額控除 正確な所得把握に課題』(上の図)

外部サイト: https://www.nikkei.com/article/DGKDZO40152480U2A400C1EE2000/

 

2012年(平成24年)6月12日の日経新聞の記事・

『給付付き税額控除 共通番号制度の導入が前提』(下の図)

外部サイト: https://www.nikkei.com/article/DGXDZO42484780S2A610C1EA2000/

から拝借した画像です。

 

「給付付き税額控除」のキーワードで、Google で画像検索をするとヒットします。

 

給付付き税額控除は言葉で説明しても分かりにくい制度であるため、それを上手に説明した図がないかと思って調べてみましたが、意外と少ないもので、この法案に対する世間の関心の低さが伺えます。

 

 

 

 

消費税の逆進性

給付付き税額控除を語る上で、消費税についておさらいが必要です(必要ないかもしれませんが)。

 

消費税は、金持ちもそうでない人にも同じ税率でかかってきますので、金持ちの負担が小さい一方、収入や貯蓄の少ない人の負担が大きくなってしまいます。

 

これを逆進性といいます。

 

『給付付き(きゅうふつき)税額控除』は、遡ること旧民主党時代、野田佳彦が首相だったときに、消費税増税に伴う逆進性を解消するために導入を検討した制度です。

 

消費税の逆進性解消策

消費税は、

1989年(平成元年、竹下登(改造)内閣、自民党政権)に導入され、

最初は3%。

1997年(平成9年、第2次橋本内閣、自社さ政権)に 5% に増税

2014年(平成26年、第2次安倍内閣自公政権)に 8% に増税

2019年(令和元年、第2次安倍内閣自公政権)に 10% に増税

(食料など軽減税率が適用されて8%のものもある)

と推移しました。

 

上記日経新聞の記事が書かれた2012年は、消費税5%の頃のことです。

 

当時、野田佳彦率いる旧民主党政権は、

財務省にそそのかされて(?笑)

税率5%からの増税を検討すると同時に、

消費税に伴う逆進性を解消させるために検討を進めていた制度

それが、給付付き税額控除というわけです。

 

給付付き税額控除の説明(ざっくり)

簡単に説明すると、

まず、税金から控除額を決めます。

適用のされ方によって、

税金が減る人(例:納税額100万 ー 控除額50万 = 50万払う)

税金払わない人(例:納税額50万 ー 控除額50万 = 税金払わない)

給付を受ける人(例:納税額0円 ー 控除額50万 = 50万円もらう)

 

のような結果になります。

 

消費税の税額を0にするより、収入が少ない人に優しい制度です。

 

一般的に、上の世代より収入が少ない若年層の税負担が減り、

場合によっては給付が受けられるので、

経済的な理由で結婚を控える必要性が少なくなり

晩婚化・少子化を緩和する効果が期待できます。

 

年金受給者は、年金もらって確定申告して納税しなくてはならないのですが、

もらう年金額によっては、給付が受けられます。

親と同居していたり、親に仕送りしている現役世代の方々の負担が減り

消費拡大や経済の安定、拡大につながります。

 

消費増税と、給付付き税額控除をセットにすることで、

税源を確保しつつ、貧富の格差を是正する効果を期待したのかもしれません。

 

消費税増税(5%→8%)のお粗末な顛末

しかし、給付付き税額控除は実現を見る前に旧民主党政権は倒れ、

 

旧民主党自民党公明党の3党合意によって、

「景気が回復したら」という条件付きで、消費増税が約束され、

 

いざ、自民党が政権に返り咲いたら、

「景気が回復したら」という条件が満たされていないのに

消費増税がされ、

 

給付付き税額控除のような手当も導入されませんでした。

 

そして、消費増税させた自民党が、その責任転嫁を旧民主党にするという

実に、ヘンテコな経緯をたどりました。

 

おまけに、輸出企業に消費税の還付金を1.9兆円(令和4年度)払って、逆進性を強めています。

 

まるで、おバ〇の国ですね。

 

 

 

 

旧民主党の」給付付き税額控除のデメリット

旧民主党時代に提案された給付付き税額控除には、下記のような課題が指摘されていました。

 

・世帯の所得を正確に把握する必要がある

・当時はまだなかったマイナンバーのような制度の導入が必要

・資産家でも収入が少なかったら給付を受けられる

・資産家には給付させないために、資産の正確な把握が必要

・財源の確保

 

立憲民主党の公約の」給付付き税額控除

消費税の逆進性対策については、軽減税率制度に代えて、中低所得者が負担する消費税の一部を所得税から税額控除し、控除しきれない分は給付する「給付付き税額控除」(消費税還付制度)の導入により行います。併せて、迅速・簡素な給付の方法を検討します。

出典:立憲民主党HP > 政策 > 立憲民主党 政策集2024 > 財務金融・税制

(外部サイト)https://cdp-japan.jp/visions/policies2024/15

 

 

旧民主党時代に課題だったマイナンバー制度は導入済。

 

世帯の所得を正確に把握する必要がある点」については、統計を活用して世帯ごとの所得を正確に把握する手間を省くようです。

 

総務省の『全国家計構造調査』等の統計に基づいて、『中低所得者が負担する消費税の一部』に“相当する額”を算出し、税額控除・給付を実施する

 

出典:立憲民主党の公約「消費税還付」はレシートを集めて確定申告が必要? 税額控除と給付で還付【ファクトチェック】

(外部サイト)https://news.yahoo.co.jp/articles/40bd924f4671f95da71acd037abcab8a77fc5170?page=1

 

なお、給付を受けるのに、レシートを集めて確定申告は必要ないそうです。

 

「資産家でも給付が受けられる」点は、どうするつもりなのか調べても分かりませんでした。保有資産の評価額に関わらず税額控除や給付を行うことで事務コストを削減するつもりなのかもしれません。

 

また、財源確保の問題は残ります。

 

給付付き税額控除は面白い政策ですが、消費減税の方が分かりやすいので、そっちに関心が向いてしまいます。

 

政策の凄さより分かりやすさ重視なら、消費減税。

 

単に消費減税を掲げておけば受けがいいのに。

 

そうしないのは、貧富の格差是正や、分厚い中間層の構築にこだわりがあるのでしょうか。

 

 

 

政策にドラマあり

単純に、消費税を減税するより給付付き税額控除の方がいいと思っているのか、消費税減税は公約に掲げていません。

 

なんとなく執念を感じます。

 

でも、実現したらいいですね。給付付き税額控除。

 

この給付付き税額控除については、公明党が批判の急先鋒になっているのか、検索すると公明党が主張する給付付き税額控除批判がたくさんヒットします。

 

これには、単純な仕組みの給付が大好きな公明党が、

立憲民主党の政策立案能力に嫉妬しているみたいに感じてしまいます。

 

法案や公約も調べてみるとドラマがあって面白いですね。