ISHARES 20+ YEAR TREASURY BOND ETF (TLT)
は償還残存期間が20年以上の米国債に投資する米国ETFです。
高金利に伴って値下がりしており、2020年初頭の高値の約半額です。
買い時でしょうか。
TLTは暴落時の備えになるか
前回の記事で、株価暴落の可能性と株価暴落時に投資方法について書きました。
各資産クラスの値動きの性質と、最近の異常なまでの円安を踏まえると円を保有しておくことが株価暴落への備えとして有効と書きましたが、
値動きの大きい長期債なら、円より高パフォーマンスが狙えるかもしれません。
利息があまりつかない円を持っておくと機会損失だと思う方や、激しい値動きに一喜一憂したい方には向いているかもしれません。私はそういう傾向があるので、TLTに食指が動きます。
各指標とTLT比較
各指標とTLTの値動きを見比べてみましょう。
↓↓ドル円とTLTの比較です。円高の時に高く、円安の時に安いです。
↓↓金とTLTの比較です。
2017年から2020年半ばまで連動するような値動きになっています。
金も債券も、株が売られたら買われるような特徴がありますが、
最近のインフレのせいか金が選好されて、金が値上がりしています。
↓↓日経平均とTLTの比較です。株の割高感と長期債の割安感が際立ちます。
↓↓S&P500とTLTの比較です。
TLTの注意点
ETFなので、株式のように1単位以上買い注文を出して買います。
年0.15%の経費がかかります。
↓↓ 分配金が出る度、税金を払います。分配金の再投資は投資信託のように自動にできません。
アメリカの財政は大丈夫か
心配です。
米財務省は20日、2023会計年度(22年10月~23年9月)の財政赤字が1兆7000億ドル(約255兆円)だったと発表した。前年度に比べ3200億ドル増えた。税収減で歳入が大幅に減る一方、歳出削減の幅が小さかった。赤字拡大は3年ぶり。経済規模を示す国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率も6・3%と前年度(5・4%)を上回った。
毎日新聞 2023/10/21 10:20(最終更新 10/21 10:20)
外部リンク:https://mainichi.jp/articles/20231021/k00/00m/020/028000c
↓↓OECD(経済協力開発機構)が発表しているCLI(景気先行指数)です。
CLIは、景気の先行きを予想するのに使われます。
アメリカ経済は景気後退する懸念があります。
アメリカは財政赤字の上に景気後退期に差し掛かっている疑いがあります。
アメリカ財政が今後堅調かどうか疑わしいです。
ただし、米国の長期債が買い時のときは、いつもこうなのかもしれません。
警戒し過ぎるとチャンスを逃してしまう可能性も視野にいれつつスルーするか乗っかるか決めることになります。
私は既にTLTを買ってるので、買い増しするか検討中です。
TLT の3倍ブル・TMF
20年以上の償還残存期間の米国債に3倍のレバレッジをきかせて投資するとち狂ったようないETFが米国で上場しています。
それが、Direxion Daily 20+ Yr Trsy Bull 3X ETF(TMF)です。
↓↓TLT、TMF、VT(Vanguard Total World Stock ETF、いわゆる全世界株式ETF)の比較チャート
↓↓シャープレシオの低さがヤバいです。
シャープレシオは、リスク(価格変動)が小さい割にリターンが大きいと高くなります。
シャープレシオが低いとは、リターンの割に値動きが大きく投資妙味がないということ。
原住民(アメリカ国民)がTLTを敬遠する理由がお察し。
TLTが買いなら、TMFも買いでしょう(?)
総括
TLTは割安感があります。
アメリカの財政が怪しいですが、S&P500を一点買いするほどアメリカ経済に対する信仰心がある場合には馬に念仏でしょう。
今後の株価下落を読み、円よりリスク取ってパフォーマンスを狙いたい方には選択肢に入ると思います。
シャープレシオが小さい……つまり、リスク(価格変動)の大きさの割にリターンが少なくても、気にしないのがコツです?
TLTが値上がりするとき、円も相対的に値上がりするので、円換算するとそんなに儲かってない感じになってしまうこともあります。
しかし、最近の円は昔のような「有事の円買い」と言われるほどの信用があるか怪しいので、やはりTLTに食指が動きます。
欲張って長期債ETFに虎の子の資金を突っ込むより、無難にeMAXIS Slim先進国債券のポジションを上げるのもありだと思います。