まるいの日記

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バーベル戦略もどきにご注意

 

 

 

 

脆弱性

だいぶ前に、ナシーム・ニコラス・タレブの『反脆弱性(上)』『反脆弱性(下)』を読みました。

 

反脆さ(はんもろさ・反脆弱性)という概念を提唱しています。

反脆さは、短くまとめると、損して得取れる性質のことです。

 

何かの悪影響を受けやすいという意味での「脆さ(もろさ)」とは対義語にあたります。

 

脆さをパラメータの一方の極に、

反脆さをパラメータのもう片方の極に位置付けたとき、

その中間の、脆くなく、反もろくもなく、変化自体しにくい性質のことを

頑健(がんけん)と言います。

 

私はこの反脆さという概念がとても気に入って、

今度相場が荒れたら、反脆さを発揮して儲けちゃおうとか思ってました。

 

そして、このチャンスが意外にも、すぐにやって来ました。

 

ドル円チャート(2024/04 - 2024/09) 出典:SBI証券

 

キャリートレード巻き戻し

今年の7月頃から、日米の金利差が縮小すると予想され、

キャリートレードが巻き戻されました。

 

キャリートレードは、金利の低い円を借り入れ、その資金を高金利通貨建ての資産(最近では主にドル建て資産)に投資することで、金利差益を得ようとする投資手法です。

 

日米の金利差をあてにして、レバレッジをかけて投資している場合、金利差が縮小すると大損こきかねないので、大急ぎで円を買い戻してポジションを解消したのです。

 

そのため、円高になり、

さらに、借りた円を返すために株を売ったんでしょうか?

株が暴落しました。

 

S&P500チャート(2024/04 - 2024/09) 出典:SBI証券

 

『反脆弱性(上)』『反脆弱性(下)』には、市場のゆがみが解消するのに伴って株価に調整が入るタイミングで空売りをしかけ、大儲けするエピソードが何例か載っています。

 

私もそうすれば、良かったのですが、その時は、NISAのつみたて投資枠の買い付け設定を毎月積立から毎週積立に設定変更し、

評価額が下がったオルカンをちまちま拾っただけで終わりました。

 

バーベル戦略

『反脆弱性(上)』『反脆弱性(下)』に、バーベル戦略という投資手法が載っており参考になりました。

 

著者のタレブが書いてあることを簡単にまとめると、

・取り返しがつかないリスクを負うべきでない。

・チャンスがあれば、大儲けができるのだから、リスクも取っておけ。

 

上記2点を両立する投資手法がバーベル戦略です。

 

バーベルの形に似ているからバーベル戦略なのですが、

現金や、短期国債のような安全資産に9割投資し、

残りの1割でリスクを取れ

と書いてます。

 

9割も現金や短期国債持ってたら、機会損失が大きいような気がします。

残りの1割投資するだけで、

私のような素人が心配するような機会損失を取り返すだけのリターンが狙える

美味い投資先が、果たしてあるのか。

 

本書では、市場のゆがみを捉えて大儲けの例がいくつか述べられていますので、

それを参考にすると、

今年の7月~8月頃起こったような、急な円高や株安の機会をとらえて、

3倍ベアを買うような投資をするんでしょうか。

 

それとも、次のGAFAMを狙ったIPO投資でもするんでしょうか。

 

何も考えず投信積立に慣れ切っている私にはちょいと難しい。

 

バーベル戦略は、

ハイリスク投資の前の安全確保が機会損失と考えない「待つのも投資」が実践できて、チャンスを逃さない高い投資スキルを持っている玄人向けの投資法ではなかろうか。

 

 

 

 

君のバーベルを探せ

バーベル戦略は、著者のタレブがいうように、

極端に安全なものと、極端にハイリスクなものを組み合わせる方法の他にいろんな亜流が存在します。

 

以前、どっかの金融系のサイトに、株式インデックスと個別株を組み合わせたバーベル戦略で儲けたインタビュー記事が載っていました。

 

なんでも、株インデックスを安全な資産なので、もっとリスクを取って上手くいったのだとか。

 

読んでて、

 

「それは、コア・サテライト戦略では?」

 

と思いましたが、株インデックスを低リスクと思えるなら、

現金や短期国債の代わりに一般的に高リスク扱いされている株インデックスで、安全を確保? しつつ、さらにハイリスク取っていくという方法もあるでしょうか。

 

そんなバーベル戦略はいやだ笑

 

私が読んだインタビュー記事は、コア・サテライト戦略とバーベル戦略を混同し、コア・サテライト戦略をバーベル戦略と呼んでいたようにしか思えない。

 

しかも、全体として、かなりハイリスクな投資で上手くいったと書いてあるので、真似して火傷する人がいないかちょっと心配。

 

低リスクな資産に軸足をおいて安全確保しておくのがバーベル戦略なのですが、バーバル戦略でないものをバーベル戦略と呼ぶことには注意が必要です。

 

つまり、リスクの異なる複数の資産に投資して全体としてハイリスクなのに、それをバーベル戦略と呼ぶことで、さも、安全は確保しているかのような印象を与えかねません。

 

みなさん、ご注意ください。

 

なお、Geminiさんに、コア・サテライト戦略とバーベル戦略の違いをまとめてもらいました。

 

バーベル戦略は、コア・サテライト戦略と似ていますが、主な違いは以下です。

特徴 コア・サテライト戦略 バーベル戦略
リスクの分布 コア資産は低リスク、サテライト資産は高リスク 極端に低いリスクと極端に高いリスクに二極化
資産の組み合わせ 多様な資産を組み合わせる 極端に異なる性質の資産を組み合わせる

出典:Geminiさん

 

上の表の

左がまともで、右が変わり種に見えてしまう笑

 

まとめ

『反脆弱性(上)』『反脆弱性(下)』は面白いです。

 

反脆くなりたかったけど、なれませんでした。

 

コア・サテライト戦略とバーベル戦略は違います。

 

バーベル戦略できる人は変人です(そんなこと書いたっけかなぁ)。

 

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