- はじめに
- 注意事項
- 1991年1月~2000年12月
- 2001年1月~2010年12月
- 2011年1月~2020年12月
- 2021年1月~2025年7月
- 全期間(1991年1月~2025年7月)
- 比率にこだわらない投資法
- 関連記事

スポンサーリンク
はじめに
全世界株式に連動する投資信託が流行っており、特に、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、投資信託の中で一番買われています。
金は全世界株式と違う値動きをしながら、それ自体値上がりした実績があり、全世界株式と金を組み合わせることで、資産全体の値動きを抑えながらリターンが得られるので、全世界株式を買うなら金も買うのが常套手段です。
ただし、全世界株式と金の比率をいくらずつにするのがいいのか、諸説ありますので、検証を試みます。
今回、Curvoからバックテスト用のデータをお借りして、
1991年1月から2025年7月までの期間、金と全世界株式の相場を振り返ってみました。
金は、「Gold spot price、ドル建て」
全世界株式は、「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI All Country World Index)、ドル建て」
を使います。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI All Country World Index)は、MSCI社が提供する世界中の株式市場の動きを表す代表的な株価指数です。
先進国+新興国:アメリカ、日本、ヨーロッパなどの先進国だけでなく、中国、インド、ブラジルなどの新興国も含まれています。
約50か国・約3,000銘柄:世界中の大型・中型株を網羅。
分散投資の代表格:1本でグローバルな分散投資が可能です。
全世界株式の指数が設定されたのが、1990年5月31日で、それ以前は遡及データによるものです。
そこで、切りのいい1991年1月から初めて、Curvoで入手できる最近のデータまで使います。
毎月末に定額積み立てて、
毎年末にリバランスする積立投資の成績を確認してみましょう。
注意事項
金が好調で全世界株式が低調な時期と、
逆に、金が低調で全世界株式が好調な時期が交互に訪れますが、
飽くまで結果論であり、何かの法則性があったり、今後の予想に役立つものではないです。
好調な資産に100%投資すると投資効率が良いですが、事前に分かるわけではありません。
互いの相関係数が低い場合、丁重な資産の割合を増やすとポートフォリオ全体の値動きを抑えられる法則性が読み取れますが、リターンが損なわれる結果になります。
値動きが小さくなる割合を提示している理由は、金と全世界株式の値動きの特徴を把握するためであり、リターンを損なってまで、値動きを抑えることをお勧めするものではありません。
本記事全体の趣旨として、趣味的なデータ分析と感想であり投資助言ではありません。
1991年1月~2000年12月

|
期間 |
相関 |
最小分散 w(金) |
最小分散 σ |
最大Sharpe w(金) |
最大Sharpe |
備考(Sharpe優位) |
資産/ポートフォリオ |
年平均リターン (AAR) |
標準偏差 (σ) |
相関係数 (ρ) |
シャープレシオ |
|
1991–2000 |
-0.05 |
56.30% |
10.30% |
0% |
0.6 |
株式のSharpeが優位 |
金単独 |
-1.32% |
10.05% |
− |
-0.33 |
|
|
|
|
|
|
|
|
ACWI単独 |
12.38% |
11.75% |
− |
0.88 |
|
|
|
|
|
|
|
|
金:ACWI=50:50 |
5.53% |
8.07% |
-0.267 |
0.44 |
上の表の説明をします。
まず、標準偏差とシャープレシオを簡単に説明します。
標準偏差(ひょうじゅんへんさ) は、データのばらつき(散らばり具合)を表す指標です。標準偏差が高いと、値動きが大きいことを意味します。同じリターンでも、値動きが大きいと投資効率が悪いと評価されます。
値動きは抑えるけど、リターンは減らさないことができたら大成功です。
シャープレシオ(Sharpe Ratio) は、投資の効率性(リスクに対するリターン)を測る指標です。
簡単に言うと…
「どれだけリスクを取って、どれだけ儲かったか」を表す数字です。
表の簡単な解説をします。
・最小分散 w(金)は、金と全世界株式に分散投資した時、標準偏差が最小になる金の投資比率です。最小分散 w(金)=56.30%」は、この時期に、金に56.30%、全世界株式に43.70%投資していたら値動きが最小になったという意味です。
・最小分散 σは、標準偏差が最小になるときの割合で投資した時の標準偏差です。
この時期、金に56.30%、全世界株式に43.70%投資した場合の標準偏差が10.30%だったという意味です。
・最大Sharpe w(金) は、金と全世界株式に分散投資したとき、投資の効率性を表すシャープレシオが最大になる金の投資比率です。「最大Sharpe w(金) =0%」は、この時期、金に投資せず、全世界株式に投資していた方が投資効率が良かったことを意味します。
・最大Sharpeは、シャープレシオが最大になるように分散投資した(または、どちらかに全振りした)ときのシャープレシオです。
この時期、全世界株式一本の投資していたときのシャープレシオは0.6だったという意味です。
・今回の相関係数は月次リターンの相関係数です。
相関係数はー1~1の数字で、1に近いほど同じタイミングで値上がりし、値下がりするという意味です。「正の相関が強い」ともいいます。
逆に、ー1に違うほど片方が値上がりしたら、もう片方は値下がりするというように値動きが逆になります。「負の相関が強い」、または「逆相関」ともいいます。
この時期の相関係数は、-0.267ですので、弱い逆相関です。
相場の特徴と主要イベント(1991年1月~2000年12月)
この10年間は、冷戦終結後の楽観ムードの中で始まり、後半にかけて「ITバブル(ドットコムバブル)」が形成されました。
前半 (1990年代初頭〜中期): 湾岸戦争後の景気回復を背景に、株式市場は比較的堅調に推移。
後半 (1990年代後半): インターネットの爆発的な普及により、IT関連企業の株価が実態を伴わずに急騰。世界中の投資マネーが株式市場、特に米国のハイテク株に集中しました。
大きなイベント:
アジア通貨危機 (1997年): タイから始まった通貨危機がアジア各国に連鎖し、一時的に世界経済の不安要因となりました。
ITバブル崩壊 (2000年3月〜): 2000年の春をピークにIT関連株価が暴落を開始。この期間の終わりには、株式市場は大きな調整局面に入っていました。
金と全世界株式の値動き:
全世界株式はドットコムバブルの影響もあって値上がりした一方、金は低迷しました。
この10年に投資するなら、株式に投資するのか効率的でしたが、金も入れるとリターンが犠牲になるものの値動きを抑えられたことが分かります。
2001年1月~2010年12月

|
期間 |
相関 |
最小分散 w(金) |
最小分散 σ |
最大Sharpe w(金) |
最大Sharpe |
備考(Sharpe優位) |
資産/ポートフォリオ |
年平均リターン (AAR) |
標準偏差 (σ) |
相関係数 (ρ) |
シャープレシオ |
|
2001–2010 |
-0.15 |
37.20% |
12.60% |
100% |
0.71 |
金のSharpeが優位 |
金単独 |
15.35% |
17.65% |
− |
0.76 |
|
|
|
|
|
|
|
|
ACWI単独 |
-0.48% |
17.80% |
− |
-0.14 |
|
|
|
|
|
|
|
|
金:ACWI=50:50 |
7.43% |
11.83% |
0.203 |
0.46 |
金が値上がりする一方、全世界株式は値下がりしました。
金に100%投資するのが効率が良い、一方、金:全世界株式=37:68程度にすると、値動きが最小になりました。
相関係数は、0.203 と弱い正の相関を示しました。
相場の特徴と主要イベント(2001年1月~2010年12月)
この10年間は「失われた10年」とも呼ばれ、2つの大きなショックに見舞われた激動の時代でした。株式にとっては非常に厳しい冬の時代であった一方、安全資産である金の価値が大きく見直され、価格が高騰しました。
前半: ITバブル崩壊の傷が癒えない中で、米国同時多発テロ事件 (2001年9月11日)が発生し、市場心理はさらに冷え込みました。
後半: 世界的な金融緩和を背景に一時的に市場は持ち直しましたが、世界金融危機(リーマンショック、2008年9月)が発生。世界中の金融システムが麻痺し、株価は歴史的な大暴落を記録しました。
金の動向: この期間、金は「有事の金」としての役割を最大限に発揮。株価とは弱い相関の動きを見せながら、一貫して価格が上昇しました。
2011年1月~2020年12月

|
期間 |
相関 |
最小分散 w(金) |
最小分散 σ |
最大Sharpe w(金) |
最大Sharpe |
備考(Sharpe優位) |
資産/ポートフォリオ |
年平均リターン (AAR) |
標準偏差 (σ) |
相関係数 (ρ) |
シャープレシオ |
|
2011–2020 |
-0.25 |
61.30% |
8.36% |
0% |
0.47 |
株式のSharpeが優位 |
金単独 |
1.73% |
15.55% |
− |
-0.02 |
|
|
|
|
|
|
|
|
ACWI単独 |
8.86% |
12.35% |
− |
0.55 |
|
|
|
|
|
|
|
|
金:ACWI=50:50 |
5.30% |
9.21% |
0.37 |
0.36 |
この時期は、一点して、全世界株式に投資すると投資効率が良い、一方、金:全世界株式=61:39のように、すると値動きが抑えられました。
相関係数は、0.37。
なお、相関係数が0.4~0.7で中程度の相関と言われますので、弱い相関とは言いいにくい相場でした。
相場の特徴と主要イベント(2011年1月~2020年12月)
この10年間は、世界金融危機の教訓から世界各国の中央銀行が大規模な金融緩和(量的緩和)を実施し、市場に大量の資金を供給した時代です。この「カネ余り」を背景に、株式市場は長期的な上昇トレンドを形成しました。
前半: 欧州債務危機 (2011年頃)など、いくつかの不安要素はありましたが、金融緩和策に支えられ市場は回復軌道に乗りました。
後半: 米国を中心に好景気が続き、株価は史上最高値を更新し続けました。
大きなイベント:
コロナショック (2020年2月〜3月): 期間の最終盤に、新型コロナウイルスのパンデミック化で市場は一時的に大暴落。しかし、各国の迅速かつ大規模な財政出動と金融緩和により、株価は驚異的な速さで回復し、年末には高値を更新しました。
2021年1月~2025年7月

|
期間 |
相関 |
最小分散 w(金) |
最小分散 σ |
最大Sharpe w(金) |
最大Sharpe |
備考(Sharpe優位) |
資産/ポートフォリオ |
年平均リターン (AAR) |
標準偏差 (σ) |
相関係数 (ρ) |
シャープレシオ |
|
2021–2025/7 |
-0.2 |
40.40% |
13.40% |
100% |
0.47 |
(途中経過) |
ー |
ー |
ー |
ー |
ー |
金投資が最大効率ながら、比率を4割程度に抑えると値動きが最小になりました。
相場の特徴と主要イベント(2021年1月~2025年7月)
この期間は、コロナ後の世界経済の正常化プロセスの中で、新たな課題に直面した時代です。
インフレの再燃: コロナ禍での供給網の混乱や大規模な財政出動が引き金となり、世界的に歴史的なインフレが進行しました。
金融引き締め: インフレを抑制するため、米国の中央銀行(FRB)をはじめ各国が急速な利上げを実施。これにより、2022年は株式・債券ともに価格が下落する厳しい年となりました。
大きなイベント:
ロシアのウクライナ侵攻 (2022年2月): 地政学リスクが急激に高まり、エネルギー価格や食料価格の高騰を通じてインフレがさらに加速しました。
金の動向: インフレ懸念や地政学リスクの高まり、各国中央銀行のドル依存解消の動きを受け、価値の保存手段として金への関心が再び高まりました。
広告
全期間(1991年1月~2025年7月)

金・全世界株式(1991/1-2025/7)
|
金とACWIの全期間 |
|
|
|
|
項目 |
金(価格リターン) |
ACWI(配当込みトータルリターン) |
備考 |
|
対象期間 |
1991年1月〜2025年7月(全月次) |
同左 |
— |
|
リターン算出方法 |
月次リターンからCAGRを幾何平均で年率化 |
同左 |
CAGR=(終値/初値)^(12/N)−1 |
|
標準偏差の年率化 |
月次σ × √12 |
同左 |
リスク(変動率)を年率換算 |
|
リスクフリー金利 |
年率2%固定 |
年率2%固定 |
Sharpe = (CAGR−2%)/σ |
|
CAGR(年平均リターン) |
約6.6% |
約8.6% |
幾何平均ベース |
|
標準偏差(σ, 年率換算) |
約18%前後 |
約16%前後 |
— |
|
シャープレシオ |
約0.26〜0.28 |
約0.40〜0.42 |
ACWIが優位 |
|
相関係数(ρ) |
約−0.10〜−0.15 |
— |
弱い負の相関あり |
|
コメント |
金はボラティリティ高いが分散効果あり |
ACWIは長期でリターン・効率ともに良好 |
組合せでリスク低減効果が期待できる |
|
指標 |
値 |
コメント |
|
最小分散の金比率 w* |
約 45%〜50% |
弱い負相関と金の高σが拮抗し、金が約半分入る構造 |
|
最小分散ポートフォリオ年率σ |
約 11%〜12% |
単独資産のσ(16〜18%)より大幅に低下 |
|
最大Sharpeの金比率 |
0% |
ACWI単独がSharpe優位(約0.41前後) |
|
最大Sharpe値 |
約 0.41 |
(8.6%−2%)/16% ≈ 0.41 のオーダー |
全期間(1991年1月~2025年7月)で見ると、全世界株式に積立投資するのが投資効率が良いという結果になりました。
株価暴落時にも積立投資を継続することで、安値を拾い、資産を大きく成長させられることが確認できます。
全世界株式と相関が弱い金をポートフォリオに組み入れることで、ポートフォリオ全体の値動きを抑えることができます。
そのため、目的によって、金に投資しないことも、50%まで比率を上げることもあり得ます。
・全世界株式の今後の成長に期待して、全世界株式に全振り
・積極運用だが、多少の分散効果を得たいなら、全世界株式:金=9:1
・安全志向なら、全世界株式:金=7:3
・当初、全世界株式に積み立て、十分資産が増えたので、そろそろ資産全体の値動きを抑えようと思ったら、金の比率を上げる……
など、それぞれのリスク許容度、資産クラスの成長に期待する気持ち、ライフステージに合わせて柔軟に金を投資に活用するのが良いでしょう。
スポンサーリンク
比率にこだわらない投資法
金や全世界株式といった資産クラスの特徴を把握しつつ、
投資比率にはこだわらないというのも、選択肢として挙げられると思います。
ここでは、3パターンの投資法を紹介します。
パターン1 株価暴落時のお守り
株価が暴落して、動揺するようなときでも、持っている資産の中にあまり値下がりしていないものや、逆に値上がりしているものがあったら、ちょっと気分が落ち着くかもしれません。
そして、気分が落ち着いて、慌てて投げ売りし損失を確定してしまう失敗をしなくて済む可能性があります。
過去のデータを見る限り、今後、全世界株式が値下がりするとき、金が値上がりすることはあり得ます。
パターン2 生活防衛資産の穴埋めに使う
例えば、全世界株式への積立をメインにしつつ、ボーナス等臨時収入があったら、金に投資しておいて、
生活防衛資産を使って減ったら、元の金額に戻すために、金か全世界株式かどちらか値上がりしている方を売って生活防衛資金の穴埋めをする。
パターン3 株価暴落時、全世界株式を買い足す準備資金に使う
2001年から2010年の期間の相場のように、株価が下がる時期は金が値上がりする傾向にあります。
株価が暴落したら、押し目買いのチャンスです。
事前に買っておいた金が、株価暴落のタイミングで値上がりしたら、金を売って、全世界株式を買い足すのもいいでしょう。
本稿はかなりの労作でした。
ポチっとしてもらえると励みになります。
スポンサーリンク
関連記事
maruinocorocoro.hatenablog.com
maruinocorocoro.hatenablog.com
maruinocorocoro.hatenablog.com
maruinocorocoro.hatenablog.com